府中(東京)の女性

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インタビュー

E・Tさんインタビュー


今回は66歳まで現役で働き、70歳半ばの現在も太極拳指導などいろんな活動されているE・Tさんのお話を伺いました。E・Tさんの意向により名前表示をイニシャルとしました。

藤田 ご出身は

E・T 青森です。きょうだいは8人。私は上から3番目で下の弟、妹たちの世話をしました。
 父は鍛冶屋で刃物や農具などを作っていたのですが、自分の作るものに手抜きはせず、仕事に誇りをもっていました。
 母は子どもが8人もいるのに、学校の費用を工面してくれて、私たちを上の学校に行かせてくれました。周りには上の学校へ行ける人はほとんどいなかった時代でしたから、今思うとほんとうにありがたく感じます。

藤田 家で、男の子だから女の子だからというような差別を感じたことはありましたか?

E・T そうですね、兄は跡取りなので大事にされていましたが、その分、厳しくもされていました。きょうだいはそろって食事してましたし、男女差別的なことは、家では記憶にないですね。
 そういえば、父のお膳はみんなと違っていたので弟は文句を言ってましたが、父は8人の子どもを養ってくれているのだから当然だと私は思ってました。

藤田 何年か前にE・Tさんの妹さんの個展に出かけたことがあります。色彩豊かな絵だったという印象があります。E・Tさんも色彩に対しての感覚が鋭いように感じますが・・・

E・T 展覧会にいらしてくださったのですね。どうもありがとうございます。私は姉の絵も大好きです。
 そういえば戦時中は色彩のない時代だったので、小学生だった私は6色ずつにまとめてある刺しゅう糸を3つに編んで引出しに入れていて、出して見るのが楽しみでした。組み合わせを変えるとまた違った色合いになって。何度も引出しをあけて眺めていました。その後もデッサンは好きでよく描いていました。
 そうそう、食後、兄がみんなを集めてそれぞれモデルになってデッサンを描いていたのを思い出しました。楽しい時間でした。

藤田 府中へはいつごろ来られたのですか?

E・T 結婚を機に来ました。夫が府中だったものですから。

藤田 では、夫さんのご両親と一緒に住まわれたのですか?

E・T いえ、別に住みました。32歳の時、仕事をはじめましたので、3人の子どもたちを府中市立の北保育所に預けました。1965(昭和40)年、同じ保育所を利用していた親たちで市議会へ請願したり市長と交渉したりして、翌年、第六小学校内に学童クラブができたんです。府中市で第1号です。
 それから10年後、やむにやまれぬ事情で働き続けなくてはならなくなりました。

藤田 もしもよろしければその理由をお話いただけますか?

E・T 実は夫が会社をクビになって再就職しなかったのです。3人の子どももいましたから、私が働かないと食べていけないでしょう。
 夫の失業保険をもらっている間に簿記の3級とりました。
 2,3の会社を変えた後、宮町にある小さな会社に勤めました。それから夜間、学校に通って簿記2級をとって、その会社の経理を担当しました。嫌な仕事ではなかったですよ。嫌だったら続きませんから。経理の一部を担当するのではなく、すべて一人でこなしましたから、やりがいがありました。

藤田 大変でしたでしょう。

E・T 忙しかったですね。帰宅は午後7時。それから食事の支度でしょう。

藤田 イライラしたりすることはなかったのですか?

E・T しましたよ(笑)夫は家にいても、何も手伝ってくれず、「なぜ、私が仕事も家事もすべてやらなくてはならないの!」って夫に言ったことがありますよ。返事はなかったですけど(笑)

藤田 離婚は考えなかったのですか?

E・T ええ、不思議と思わなかったです。夫の親やきょうだいからも大変だねと声をかけられたり離婚をしたらと言われたり。みんな私の味方でしたが経済的援助はなかったですね。

藤田 お子さんに手伝ってもらうことは考えませんでしたか?

E・T あら、そういうこと考えつかなかった(笑)そうよね(笑)

藤田 ごきょうだいの世話や家の手伝いをよくされてきたので、苦にならなかったのではと思います(笑)
 それで、いつ頃までお仕事されていましたか?

E・T 66歳の時なんだか根気が無くなったな~仕事の辞め時だなって自分で思って退職しました。

藤田 仕事を辞めたら、ガックリしませんでしたか?

E・T いいえ嬉しかったわ。だって時間を自由につかえるんですから。

藤田 そこが女性と男性の違いでしょうか(笑)男性は仕事を辞めたとたん体調を崩す人が多いとか。その点、女性は切り替えが上手なのかもしれませんね。
 それで、仕事を辞めて何を始められましたか?

E・T オカリナってご存知?

藤田 はい。素焼きの丸い形などをした笛で、澄んでいて優しい音色ですよね。

E・T ええ、フルートや尺八と違ってすぐに音が出るの。演奏していると、ほんとうに気持ちがいいの。それになんでもそうでしょうが奥が深くて。今、一番したいことなのですが、楽器は練習しなくてはいけないでしょう。その時間が今はないの(笑)

藤田 お忙しいのですね。太極拳の指導をされているとお聞きしましたけれど・・・

E・T ええ、週に2回です。40代後半にテレビのCMで太極拳をしている場面を見て興味を持ちました。それで近くの文化センターに太極拳の教室があったので入会したんですよ。

藤田 太極拳は動作を覚えるのが大変ですよね。それに「気の流れ」をスムーズに行うのは難しいと思うのですが・・・

E・T むずかしい、むすかしいです。最初はね(笑)
 入った教室は半年ごとに試験があって、自分ではできているように思わないのに次のステップにいってしまう。基本が大事。基本をしっかりしなくてはと思い、別の教室に変わりました。もう30年以上も太極拳をしているけれど、他人様に教えているので自分も勉強し続けないといけないって思って、月に4回、神保町まで習いに行ってます。それで、いまでも気づかされることがたくさんありますよ。

藤田 それ以外に何かされてますか?

E・T イスラムの勉強をしています。

藤田 えええ?イスラムですか?

E・T ええ、私はどちらかというとマイナーなものに惹かれるんです(笑)
 今から6年ほど前に府中の生涯学習センターでイスラムについての講演会があって、それを受けたのがきっかけで自主グループを作って今でも月2回集まって勉強しています。
 活動している人のなかには9・11テロ(2001年に起こったアメリカ同時多発テロ)から興味をもったような人もいますが、私は若い頃、アテネ文庫(弘文堂)を愛読していて、そのなかに井筒俊彦さんの「マホメット」という本があって、とても興味をもったのです。けれど、なかなか勉強する機会がなかったので、今とても楽しくって(笑)それも井筒俊彦さんと今ご指導していただいている先生と方向性が違っていて、それも興味深いです。

藤田 よく考えるとイスラムの世界についてはほとんど知らないのが現状ですよね。

E・T そうですね。今のメディアの報道だけではわからない部分がほとんどだと思います。

藤田 お話をきいていて感じるのですが、どこにも力みがなく穏やかな印象をうけるのですが・・・

E・T ありがとう(笑)
 私のモットーは「身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ」です。自分にできることを精一杯した後は流れるままにしていたら、自然とうまく回転していくって思っています。

藤田 今日は貴重なお話をありがとうございました。私もイスラムに関する本を読んでみたいと思います。


プロフィール

fujita

Author:fujita
fujita emi

2005年9月府中市女性史編さん実行委員(2008年3月発刊)となったことがきっかけとなって今回のブログを始めることとなった。
府中の女性の仕事や活動をいろいろ紹介していきたい。

趣味
山歩き
芸術鑑賞(美術、映画、観劇)
読書




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